腰痛を主訴に救急搬送されてきた患者さん。
今日はどうしていらっしゃったんですか?
「腰が痛くて、動けなくて…」
どのへんが痛いですかね。
「別にどこが痛いってわけじゃないのよ。」
えっ?
あれ、腰が痛くて、救急車を呼んでいらっしゃったんですよね?
「ええ、そうです」
(んー、聞き方がまずかったのかな。)なるほど、今一番困ってらっしゃることはなんですか?
「困ってるってことはないね。」
(んんっ?)
腰の診察を始めるも、一向に痛がる様子はなく、まったく所見がない。
そうですか、腰も特に問題なさそうですね。なにかして欲しいことはありますか?
「ないかな。」
痛み止めもいらないです?
「はい。」
じゃあ帰宅になります、お大事にしてくださいね。
「ありがとうね。」
〜〜〜〜〜〜〜
救急外来にはいろんな患者さんがきます。いろんな意味で。
この方はすぐに帰っていったので私自身にはそんなに負担はなかったのですが、なんとも言えない気持ちになりますね。
医療従事者の間では、こういうことがあると「医療費の無駄だ」「救急車/救急外来をなんだと思っているんだ」みたいな話で盛り上がります。
救急車を有料化すればこういう変なのは来ない、みたいな意見もよく出ます。
まあただ、こういう特殊なケースはごく一部であるはずなので、その他大勢の国民の利益を考えると救急車有料化はしないほうがいいんじゃないかな。
必要経費のひとつとして割り切ってしまって。
いや、けど本当にごく一部かな…
ちゃんとした統計は知らないし、体感的にはそこそこいる気もしてきた…
まあ、いいか。
おしまい。
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