【研修医日記】圧迫骨折はやりがいのない病気

研修医日記

病院にはいろんな腰痛の人が来ます。

ちゃんとした診断がつく腰痛のなかで一番多いのは腰椎圧迫骨折。
おばあちゃんが尻餅をついた後に動けなくなった、というのが典型的です。

骨が折れているわけなので、とても痛そうです。なんとかしてあげたい。
けど、圧迫骨折の治療方針は、基本的には「骨がくっつくのを待つ」だけです。

入院しても特にできる治療がないので、痛み止めを処方して帰宅してもらうことがほとんどです。
どんなに痛そうでも、絶対に座れない、帰れないという人でも、なんとか車椅子に座ってもらって帰します。心苦しいです。

また、返すからには圧迫骨折と診断をつけないといけないわけですが、その診断をつけるまでも苦しい。

まず診察の過程で背骨を押したり、軽く叩いたりするので、とても痛がられます。
体を少し動かすだけでも痛いので、レントゲンをとるのにもとても苦労します。

そして苦労して診断したところで、してあげられることはありません。複雑な気持ちになります。

そういうことなので、個人的には圧迫骨折はやりがいのない疾患です。

どうせ有効な治療がないなら、なんでそんな辛い思いをして診断をつけるんだ、という気分になるんですよね。
けど、腰痛の原因が圧迫骨折であり、他の怖い疾患が隠れていないかということを確認するためにも、診断をつけるのは重要なことなんです。

腰痛の中には、見逃したら命に関わるような病気が意外と隠れているので、それを全て否定した上で帰宅させなければなりません。

だからやっぱり診察・検査は必要なのです。辛いですね。

なにか圧迫骨折を予防できたり、治療できたりする画期的な方法とか開発できたらいいなあ、と思うのでした。

おしまい。

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