以前、
「肝となる業務を見極め、そこに集中することで、
コストパフォーマンス良く、楽しく働くことができる」
という話を書きました。
この記事は一見すると、
医師という職業に特化した仕事論のように見えるかもしれません。
ですが、書きながら自分でも強く感じていたのは、
この考え方は、仕事だけでなく、投資や人生全体にもそのまま当てはまる
ということでした。
(投資と人生が同列にならんでいるのはカテゴリーミスマッチのような気もしますが、私の興味対象として投資はかなり重要なのでご容赦ください。)
今回は、その理由を少し整理してみようと思います。
共通しているのは「正解を当てにいかない」という姿勢
仕事論でも、投資でも、人生でも、
多くの人が最初にやろうとするのは、
- 自分に向いているかどうか
- どれが正解か
- どれが一番効率的か
を事前に見極めようとすることだと思います。
しかし実際には、
どの分野でもそれはかなり難しい。
- 仕事では、やってみないと向き不向きはわからない
- 投資では、事前に将来の値動きを正確に当てることはできない
- 人生では、選ばなかった道がどうだったかは検証できない
つまり、どれも
不完全な情報の中で、不可逆な判断を迫られる営みです。
この前提は、3つともまったく同じです。
フィードバック密度という共通の軸
前回の記事で強調したのは、
- フィードバックが得られるか
- PDCAを高回転で回せるか
- 判断と結果の距離が近いか
という点でした。
これは、投資や人生でも極めて重要です。
投資の場合
- 結果が出るまでに何年もかかる投資
- 何が良くて何が悪かったのか検証できない投資
は、学習効率が極端に悪くなります。
一方で、
- 小さく試せる
- 結果が比較的早く返ってくる
- 失敗しても致命傷にならない
こうした環境では、
自分なりの判断軸を育てやすくなります。
人生の場合
- 一度きりの大きな決断だけで全てを決めようとする
- 途中修正が効かない設計をしてしまう
これもまた、フィードバックが極端に乏しい状態です。
仕事論で語った「肝となる業務」とは、
言い換えれば、
自分の判断に対して、最も密度の高いフィードバックが返ってくる場所
のことでした。
応用が効くかどうか、という視点
仕事論で挙げた条件のひとつに、
「他に応用が効くスキルかどうか」というものがありました。
これは投資でも人生でも、まったく同じです。
- 特定の状況でしか使えない判断
- 再現性のない成功体験
- 文脈依存が強すぎるスキル
これらは、
一度環境が変わるとほとんど役に立たなくなります。
一方で、
- 状況を整理する力
- 前提を疑う癖
- リスクを分解して考える視点
こうしたものは、
仕事でも、投資でも、人生でも使い回せます。
救急外来で身についた判断力が、
病棟業務や他の場面でも効いてきたのと同じ構造です。
「向いているかどうか」は、後からしかわからない
前回の記事の最後で、
「自分に向いているかどうか」というのは最初に考えることではなく、
むしろ後から判明してくる
と書きました。
これは、投資や人生においても、ほぼそのまま当てはまります。
- 投資に向いているかどうか
- この生き方が自分に合っているかどうか
これらは、
頭で考えても、事前にはわかりません。
フィードバックを受けながら、続けられたかどうか
その結果として、後から見えてくるものです。
結局、同じことをやっている
こうして振り返ると、
- 仕事論
- 投資
- 人生観
は、別々の話をしているようで、
実は同じことを繰り返し考えているだけだと気づきます。
それは、
- 不確実な世界で
- 不完全な情報を使って
- 判断を下し
- フィードバックを受け
- 次の判断に活かす
というプロセスです。
最適解を当てにいくことではなく、
判断の質を少しずつ上げていくこと。
仕事も人生も同じ
ワークライフバランスという言葉があるように、ワークとライフを別物として捉える風潮があります。
そう分けて考えた方が楽なこともあります。
でも少なくとも、
自分の中ではこれらは分けて考えてしまうことが、かえって人生を複雑で難解なものにしていると思います。
仕事も人生も、
同じ姿勢で考え、
同じ軸で判断し、
同じようにフィードバックを受け取る。
そうやって積み重ねたものが、
結果的に「楽しく、持続可能な生き方」につながっていくのだと思います。
おしまい。



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