以前この本を紹介したのですが、その後日談です。
この本ほんとうにすごいんですよ。
今の所私を含めて3人が試していますが、その全員が催眠現象を体験できたんです。
全員、少なくとも「握った手が開かなくなる」禁止暗示には成功しています。
そのうちの1人には、なんと私が催眠誘導をしました。
催眠術師デビューです!笑
そしてもう1人は、自分なりにスクリプトを工夫して、オリジナルの自己暗示をかけたりしているようです。すごい。
前回の書評記事を書いたときは、まだ催眠にかかったのは私だけでした。
それがもう既に、二人も体験者が増えたのです。
さすが「読み上げるだけで催眠状態に入れるスクリプト」はすごいです。
自分の狭い観測範囲の中でも、再現性があることが確認できています。
催眠現象って、ほんとに「科学の方法論」で整備されているんですね。
そんなこんなで感動の連続だったわけですが、その中でいろいろと考えたことがあったのでここにまとめてみます。
レトリックのパワー:営業ノウハウ本に対する印象が変わった
催眠のスクリプトって、ちょっと乱暴な言い方をすると
「科学的方法論によって慎重に設計されたレトリック」
なんだと思います。
ちょっと違うところとしては、普通のレトリックが「意図を伝えること・表現を豊かにすること」を目的にしているのに対して、催眠のレトリックは「精神の状態を変えること」を目的にしています。
目的が違うだけで、修辞的な工夫によって結果を得る技術という点では同じレトリックです。
けど一般的には、レトリックってあんまり好意的に受け止められませんよね。
合理主義の広がった現代日本では、レトリックや言葉の力は軽視されています。
確かに、
・レトリックは使いようによっては、体の自由を奪うことすらできてしまう
これだけ聞くとなんだかうさんくさい。
合理的に考えればそんなことはありえません。
しかし、そもそも人間の認識は合理的ではないんです。
人間の脳そのものがいい加減なので、「言葉一つで体の自由が効かなくなる」なんて現象が起きてしまう。
言葉だけで、身体的な変化さえ引き起こすことが出来るんです。
催眠現象を経験した今、それを身にしみて実感しています。
「握った手が開かなくなる」なんて劇的な変化が起こせるんだから、ちょっとした気分の変化くらいなら簡単に起こせそうな気がしてくるんですよね。
たとえば、営業・セールスのノウハウ本でよく言及されるレトリックである「イエスセット」
イエスセットとは、与えられた言葉に対し内心で「はい」と連続して答え続けていると、続く暗示にも、つい「はい」という肯定的な応答を引き起こしてしまうという技法のこと。
この本で紹介されている催眠スクリプトには、このイエスセットが効果的に用いられているんです。
イエスセットについては、本当に色んな本で言及されているので知ってはいたのですが、、
正直、ほーんそんなもんか。くらいに思っていました。
なんならうさんくさいとまで思っていたかもしれません。
それが、この本を読んでみるとイエスセットによって体の動きを封じられたではありませんか!
こんなに強力な技法だとは思いませんでした。
これは確かに使いこなせれば営業にはもってこいの技術になる、、
ちょっと怖くなってくるくらいです。
たかがレトリック、と侮ることはできなくなりました。
おわりに
少し話がそれますが。
本をたくさん読んでいると、「単語レベルではわかっていても肌感としての実感は無い」ということが増えてきます。
そして、ふとした時に、「単語レベル」が「実感」へと変わる瞬間があるんです。
これがとても快感なんです。その瞬間からいろんなものが繋がる。
『はじめての催眠』は、それを今年で一番、強烈に体感させてくれました。
イエスセットの重要性、言葉一つで体の自由を奪えるほどの力を持つレトリック、そしてその裏返しとしての人間の認識の曖昧さ、、、
これらは全て既に聞き及んでいたこと、「単語レベルではわかっていた」ものでした。
それが、催眠状態を体験することで「肌感としての実感」に変わったんです。
いやぁ、たった1000円の新書でここまでの経験が出来るとは思いませんでした。
人生は驚きに満ちていますね!
もし催眠に興味を持っていただけたら、以下の記事に催眠を体験できるスクリプトも書いてあるので、是非体験してみてください。
スクリプトは最後のほうにあるのですが、催眠の仕組み、成立条件などを知っていただくためにも、冒頭から順番に読んでいただくことをおすすめします。
おしまい
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