仙腸関節性腰痛、いわゆる仙腸関節障害は、
整形外科診療の中でも、かなり手応えを感じやすい病態です。
理由はシンプルで、
仙腸関節ブロック(キシロカイン注射)が極めてよく効くからです。
適切に診断できていれば、
ほとんどの症例で 1〜2回の注射と理学療法で改善していきます。
患者さんから
「今まで全然よくならなかったのに」
と感謝されることも少なくありません。
なぜ、やりがいがあるのか
仙腸関節障害の魅力は、
診断 → 治療 → 効果までの距離が短いことです。
- 問診と診察である程度当たりがつく
- 注射の手応えが分かりやすい
- 効果がその場、あるいは短期間で実感される
これは、臨床を始めたばかりの時期でも、
「自分の判断が患者の改善につながった」
という実感を持ちやすい領域だと思います。
私の診断のしかた(かなり実践的な話)
診断自体は、実はそれほど難しくありません。
私が注射を提案するのは、
以下をすべて満たした場合です。
- 腰臀部痛が主訴
- 痛いところを指一本で示してもらうと、
PSIS もしくは仙結節靱帯を指す - 座位で疼痛が増悪する
- PSISに明確な圧痛がある
これらが揃えば、
私はこう伝えます。
「8割くらいの確率で痛みはよくなると思うけど、
注射チャレンジしてみますか?」
過度な断定はしないが、期待値は正直に伝える。
このくらいの距離感が、ちょうど良いと感じています。
ほかにも「仙腸関節スコア」というものも考案されているので、これも参考になると思います。
仙腸関節スコア
One finger test で PSIS を指す:3点
鼠径部痛あり:2点
椅子座位時疼痛増強:1点
SIJ shear test 陽性:1点
PSIS に圧痛あり:1点
仙結節靭帯の圧痛あり:1点手術的治療を要する腰椎疾患との鑑別に使う場合にはスコア4点以上で感度90.3%、特異度 86.4%であり
仙腸関節固定デバイス適正使用基準
整形外科の一般外来で腰殿部痛診療を行う際には、スコア 5 点をカットオフ値に設定す
ると感度 77.4%、特異度 76.4%と報告されている。
注射は「診断」と「治療」を兼ねる
実際の流れはシンプルです。
- エコー下に針を進める
- いつもの痛みが再現されるかを確認する
- 再現されれば、その部位に薬液を注入する
この「痛みの再現」が得られたとき、
診断の確度はかなり上がります。
そして、
注射後にその場で痛みが軽くなれば、
患者自身も納得感を持ちやすい。
まず挑戦してみていい仕事
仙腸関節ブロックは、
- 解剖が比較的分かりやすい
- エコーで安全に行える
- 効果が分かりやすい
という点で、
最初に「インパクトのある成功体験」を得るのに向いている手技だと思います。
もちろん、
- すべてが仙腸関節性腰痛ではない
- 見逃してはいけない病態もある
という前提は重要です。
ただ、それを踏まえた上でも、
まず一度、きちんと診断して、きちんと効かせてみる
という経験は、整形外科診療の感覚をつかむうえで大きな意味があります。
おわりに
仙腸関節性腰痛は、
- 診断が比較的シンプルで
- 治療効果が分かりやすく
- 患者満足度も高い
という、非常に「報われやすい」病態です。
そして、
「よく効くからこそ、見逃してはいけないものもある」
という視点は、次の記事につながっていきます。
おしまい。




コメント