【公認会計士試験】有価証券:部分純資産直入法は日本的な会計処理【あと108日】

公認会計士試験

今日は有価証券について学びました。かなりボリュームのある分野です。

有価証券にもいろいろありますが、会計上は保有目的によって分類しています。

売買目的、支配・影響力行使目的、満期保有目的、その他の四つです。

どの銘柄を持っているかではなく、どういう目的で持っているか、という視点での分類です。

だから、私が売買目的で持っているGoogle株と、Googleの親会社であるアルファベットが持っているGoogle株は、同じ銘柄であっても会計処理が異なります。

そして基本的には、保有目的の変更はホイホイとは認められません。

保有目的によって会計処理が異なるということは、保有目的の変更によって利益その他へ与える影響額が異なるということ。

もし保有目的を自由に変えることができるなら、恣意的な利益操作が可能になるということになります。つまり粉飾の温床となる可能性がある。

というわけで、保有目的の変更は原則NGです。

とはいっても不可抗力で保有目的が変わってしまうこともあるので、そういう場合の会計処理も必要になってきます。
これがまたややこしく、面白い論点になってくるのです。

ところで、保有目的が「その他」となっているものは「その他有価証券」という扱いになります。これも、他の分類には当てはまらないようなものを詰め込むゴミ箱的概念です。

この会計処理に、部分純資産直入法という奇怪な処理があります。

評価損益を計上する際に、利益が出た場合は純資産の部に直接算入するが、損失が出た場合には特別損失として計上することを容認するというもの。

これは、日本の慣行と国際会計基準との折り合いをつけるために生まれたキメラのようなものです。

従来日本は、その他有価証券について取得原価で会計処理をしていました。そのため評価損益というものは計上されず、評価額が簿価を下回った時のみに損失を計上する低価法というものが採用されていました。

しかし、国際基準では時価会計が一般的です。国際基準に合わせる必要性に迫られ、日本の財界もしぶしぶ時価会計を受け入れます。

しかし、従来やってきた低価法という会計処理は捨て難い、どうにか同じような方法を認めてくれないか、ということで、部分純資産直入法が認められることになった

というような経緯があるそうです。

合理性よりも宥和を、間をとってこうしましょう、というような、いかにも日本的な雰囲気のある話ですね。

会計基準の変遷の歴史も、調べてみたら面白いかもしれません。

おしまい。

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