大阪万博のロゴが決まったみたいですけど、、
これ、どう思いますか??
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あまりにも奇抜なデザインが話題のロゴで、
「いのちの輝きくん」と呼ばれたりもしているようです。
私がいのちの輝きくんをみて最初に思ったのは、
「なんだこれ、気持ち悪い」でした。(失礼)
五つの最終候補をみても、いのちの輝きくんだけは浮いてみえました。
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他のはかっこいいのに、
なんでよりによってこんなグロテスクなものを、、という印象。
そう思ったのは私だけではないようで、こんな否定的なニュースもでています。
大阪万博ロゴに賛否「かわいい」「気持ち悪い」…菓子のキャラに類似との声もー読売新聞
いやーどうしてこんなものが選ばれてしまうんだろうなぁ、
などと思いつつ眺めていたところ、おもしろい話を見つけました。
デザインの目的
このロゴは、
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「できるだけシンプルでかつ印象に残る」
という目的に最もかなうものなんだ!
と言っている方がいたのです。
なるほどそういうことか!
そう言われると見方も変わってきます。
一つだけ場違い感ともいえるほどに浮いているということは、
もっとも印象に残るということ、、!!
確かにある意味で、
最も目を奪われたのはこのロゴでした。
試しに母に見せてみると、
やはり5つの最終候補のうち、このロゴだけに反応していました。
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これなんね?金魚がつながっているの?
と謎の感想。
ちなみに母には可愛く見えたそうです。すごい。
さらに、このロゴは印象に残るだけではありません。
シンプルなデザインだから、
グレースケールにしてしまっても印象があまり変わらないのです。
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ほかの候補はだいぶ印象が変わってしまっているのがわかると思います。
それどころか、
縮小してもひっくり返しても
それとわかります。
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これはパンフレットの端などに小さく、
また白黒印刷されることもありうるロゴには必須の条件です。
もしかしたら、いのちの輝きくんはすごいデザインなのかもしれないぞ、
という気持ちになってきました。
「できるだけシンプルでかつ印象に残る」をまっすぐ目指したら、
たまたま気持ち悪くなってしまったのがいのちの輝きくんなのです。
(ちょっと失礼かな?)
そのゴールを達成するには、カッコよさや美しさは最適解ではなかったということ。
母の反応がそれを物語っています。
シンプルで印象的、Twitterでは大人気!
実際、Twitterではすでにあらゆるファンアートやパロディ漫画、
果てはアクリルキーホルダーからフィギュアまでつくられています。
ゲームにもなっているようで、ネットニュースの記事にも取り上げられています。
万博ロゴマークがたった1日で続々とゲーム化 「いのちの輝きくん」が踊ったり跳ねたり弾んだり
こんなにも二次創作が盛んにおこなわれているのは、
やはりそのシンプルさのおかげでしょう。
シンプルゆえに、多くの人がパロディに参加でき、それが拡散につながっていきます。
もうロゴというよりも、一人のキャラクターとして愛されているような印象さえうけます。
気持ち悪さを面白がったものが大半(?)ですが、
それでもこのロゴが拡散されることで、ロゴとセットで大阪万博の存在感も増していきます。
さらにこのデザインのシンプルさは破格のもので、
なんと形を変えてもそれとわかります!
どういうことか、この動画を見てもらうとわかると思います。
いのちの輝きくんの丸の配置を変えることで、EXPO2025を表現しています。
これ、どんなに形がかわっても、いのちの輝きくんそのままなんですね。
配置がもとの形と大きく変わってしまっても、
はっきりと「いのちの輝きくんだ!」と認識できます。
ここまで汎用性が高いのは、デザインとして優秀すぎるとしか言えません。
「できるだけシンプルでかつ印象に残る」に関して考えると、
大成功のデザインだったといえます。
デザインの本当の機能
デザインというのは、カッコよく美しくすることだけが能ではない、
ある目的を達成するための技術なんだ、ということで一つ勉強になりました。
そういえば、本来の意味でのデザインは、
「実践的かつ創造的な問題解決もしくは解決の創造についての形式的方法であり、将来に得られる結果をより良くすることを目的としている」
という思考方法なんだそう。(Wikipediaより)
少し小難しい表現ですが、要はデザインはなんかしらの課題を解決するものということです。
今回の大阪万博ロゴに関して言えば、
できるだけシンプルでかつ印象に残るロゴを作りたい
という課題があって、その課題を最も体現するものがいのちの輝きくんだったわけですね。
最近はビジネス関係でもデザインの考え方が流行ってきているみたいで、私もこんな本を読んだところでした。
デザインといえばほかにも、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボの”Age of entanglement”という論文でも、
クリエイティビティにおけるデザインの重要性が指摘されています。
ここでデザインは、エンジニアリングによって実現された「実用性」を、
人間が使いやすい形に変換して、人々の行動を変化させること、
のような意味合いで定義されています。
現代社会を生き抜くためには、サイエンスやエンジニアリングなどの特定の専門分野だけでなく、
デザインやアートなどの分野にも意識を向けなければならない、というような話でした。
これもすごく面白いお話だったので、元論文と合わせて読んでみてもいいと思います。
なにか目的を設定し、将来より良い結果を手に入れるデザイン思考。
いのちの輝きくんは、目標達成のために「カッコよく、美しくなくてはならない」といった先入観を捨て去り、大成功しています。
目標達成を目指すときには、既存のやりかたにとらわれずに、
思い込みを捨て去ることも必要なのかもしれません。
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