前回、WorkFlowyの大まかな紹介をしてみました。
ただ、やはり1つの記事だけではWorkFlowyの具体的な使い方をうまく伝えきれませんでした。
そこで今回は、私の卒業試験対策を題材にして、具体的にどのようにWorkflowyを使っているのかを
5つの手順に沿って紹介してみます。
私が医学生であることから【医学生向け】としていますが、基本的な要領は他の試験対策にも通用すると思います。
具体的にはこんな感じです。
- 過去問を解く
- よくわからないところを列挙する
- 階層化する
- 1〜3を繰り返す
- 補足していく
私はこの勉強法を使い始めてから、試験と名のつくものには
すべて一発で合格しています。
効果バツグン、とてもおすすめの勉強法です。
WorkFlowyのテスト勉強への使い方を検索してみたんですけど、あまり情報がないんですね。
WorkFlowyを使い始めてみたものの、
どう使ったらいいかわからない、、
そんな方の助けになればと思います。
1.まず過去問を解く
まずはWorkflowy以前の話ですが、
とりあえず過去問を解きます。
過去問は、大学なら部活の先輩などから、資格試験なら過去問テキストなどから入手できるはずです。
過去問を一通り解いて、解説も確認します。
それに関連して調べたことも書き留めておきます。
2.よくわからないところを列挙する
過去問を解いていて、自分の知らなかったことやあやふやだった事柄を、
気がついたその時点でWorkflowyに列挙します。
解説に書いてあることでも、自分で調べたことでも構いません。完璧に答えられたもの以外はすべて列挙します。
このとき、できるだけ自分の言葉で表現し直すと良いです。
コピペや丸写しだとあまり意味がありません。
こんな感じ
3.階層化する
列挙できたら、似たもの同士を集めて、
要約となるようなトピックを作ります。
このとき、
できるだけ文として書くようにしてください。
単語ではなく、主語と述語のある文です。
情報の精度は落ちてもいいので、大雑把でいいので、タイトルを文にします。
こんな感じ
4.一通り終わるまで1〜3を繰り返す
もう上の階層は作れない、というところまで
1〜3を繰り返します。
1〜3を何回か繰り返していくと、タイトルを文にするのが難しくなってきます。上の階層になるほど、抽象的すぎて一文にまとめることが難しくなるんです。
そういうときは、さすがに単語をタイトルに付けます。
ただ、せめて下から2〜3階層くらいは、できるだけ文をタイトルにつけるようにしたほうがいいです。
上の階層を作っていくのは抽象化の作業
ここでできるだけタイトルを文にしたほうがいいというのは、
より質の良い抽象化をしたいからです。
大雑把にでも文としてまとめると、その事柄に対するイメージというのがわかってきます。
たとえばこの、まだ階層化が進んでいない腎細胞癌についてのトピック。
まだそれぞれの事柄が羅列されているだけで、全くイメージがわかないと思います。
ここで、タイトルをちゃんと文にして、まとめていきます。
こんなかんじです。
そうすると、それぞれの事柄が、
- 腎細胞癌はいろいろ分泌する
- 腎細胞癌の薬物治療は特殊
- 腎細胞癌は手術療法が基本
という大雑把な3つの情報にまとめられます。
一段階、抽象化が進んだわけですが、どうでしょう。
なんとなくイメージがつかめてくると思います。
そしてこの3つをさらに一つにまとめます。
腎細胞癌は変な癌だからいろいろ分泌するし普通の抗がん剤も効きにくい
という一つの文にまとまってしまいました。
ここまでくるとかなり抽象化されているので、個別具体的なことはわかりません。
だけど、
だいぶイメージをつかめた気がしませんか?
この「腎細胞癌は変なやつ」というイメージがあると、
そういえば腎細胞癌って変なやつだったから治療薬も特殊だったな。
なんかいろいろ分泌してたし全身症状も出そうだな
といった具合に、このイメージから逆算して、具体的な内容を思い出せるんです。
上の階層にあるイメージから、下の階層の具体的な情報へ。
情報が階層構造を保ったまま、無意識下にインストールされる
そんなかんじです。
インプットとアウトプットを同時に行っている
ここでは、個別の事柄を束ねて一つのイメージを作り上げるという過程を踏んでいます。
これは自分で「発見・創造」しているのに近いんです。
いうなればアウトプットの要素も含んでいます。
人からただ聞くだけ、インプットするだけのときとは違うのです。
アウトプットすることの学習効果というのはよく知られていますが、それがそのままこの学習方法にも言えます。
アウトプットの過程を踏むことで、本当にしっかりと知識がインストールされます。
5.補足していく
1〜4をしっかりやると、けっこう階層が深くなってくると思います。
そうすると、このタイトルの下の階層が寂しいぞ、ということが起きてきます。
今度はそういうところをどんどん補足していきます。
たとえばこれ。
しかし、高血圧のトピックは、同じ「症状」の事柄ですが仲間はずれです。
多くは高血圧を合併する
というトピックがなんだか寂しいです。
嚢胞出血と嚢胞感染は一緒になってまとまることができていますが、このトピックは仲間はずれでです。
そこで、多嚢胞腎について調べてみると、ほかにもこんな症状があることがわかりました。
上の階層には暫定的に「症状」という名前を付けています。(もちろん後で文に直します。)
そこでこれらを加えて再編していきます。
そうすると、最初は仲間はずれだった高血圧のトピックも、
腎臓以外の肝心・脳などの重要臓器にも病変ができる
というより大きなトピックの下にまとまることができました。
下の階層を補足していくのは具体化の作業
1〜4では、どんどん上の階層を作っていきましたが、5では、どんどん下の階層を作っていきます。
上の階層へ進むのが抽象化なら、
下の階層へ進むのは具体化です。
一度極限まで抽象化した後に、こんどは網羅的に具体化していくのです。
つまり1〜5までの全体を通して、
具体と抽象を行き来することになります。
具体と抽象の行き来が、思考と記憶を活性化する
この作業を行うと、特に暗記する努力をしなくても、
知識がしっかりと記憶に残ります。
情報が階層構造を保ったまま、
無意識下にインストールされるからです。
構造化された情報は、無意識が上手に反芻してくれます。
そして無意識下に定着した知識は、
何も考えていないときにも働き続けます。
常に復習をし続けているような感じです。
それを可能にするこの学習法のポイントは、
- 抽象化と具体化の行き来
- アウトプットしつつのインプット
の2つです。
抽象化することで全体のイメージを掴み、
具体化することで関連した事柄を網羅できます。
そしてアウトプットによって知識が定着します。
これらの条件が揃うことで、
学習効果が何段階もブーストされるというわけです。
過去問のみの勉強ではない
この方式をとると、過去問を中心にしつつ、肉付けをしていくという勉強ができます。
5での「具体化の工程」を挟むことで、
過去問にあった情報以上のものを追加していくことができます。
過去問のみを丸暗記するような勉強だと、正直テストで点を取る以外にはまったく役には立ちません。
しかも過去問にない傾向の問題には太刀打ちできず、その場合はテストで点を取れるかすら怪しいです。
かといって過去問を使わずに勉強すると、他の人が点を取れる過去問どおりの出題に弱くなってしまいます。
しかし今回紹介した勉強法では、過去問をうまく使いながら、より幅広く、
生きた知識を身につけることができます。
自分が何を理解していないのかが明確になるし、重要な事柄に関連した情報を集めていくことができます。
ただ誰かが作った資料を丸暗記したり、解説集を眺めたりするだけの”勉強”と違って、
ほんとうの知識を身につけられます。
私はこの勉強法を初めてから、テスト勉強がとても楽に、楽しくなりました。
この方法に欠点があるとすれば、無料版WorkFlowyだとトピック数の上限にひっかかることぐらいでしょうか、、
とてもおすすめの勉強法なので、ぜひ試してみてください。
知的作業におすすめの本
最後に、私がWorkFlowyの使い方を考える際に参考にした書籍を2つ紹介します。
どちらも知的生産を題材にした本です。
『アウトライナー実践入門 〜「書く・考える・生活する」創造的アウトライン・プロセッシングの技術〜【電子書籍】[ Tak. ]』
最初はとにかく書きまくる → 後で階層化する
という手法はほぼこの本の受け売りです。
『ワイド版 思考の整理学 (単行本) [ 外山 滋比古 ]』
無意識が働いてくれる、といった発想はこの本からいただきました。
どちらも素晴らしい本なので、是非読んでみてください。
きっと何か得られるものがあるはずです。
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