コロブスという猿がいます。
猿のくせに牛と同じように4つの胃を持ち、反芻することで栄養価の低い葉っぱだけを食べて生きていけるという珍しい生態の猿です。
その猿が、炭を食うことで腸内環境を整えているのかもしれない、という論文を見つけました。
炭を食べるサル
―ザンジバルアカコロブスの採食行動―
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科からアジア・アフリカ地域研究という雑誌に出た論文です。生物学の雑誌ではないっぽいけど面白いです。
この論文自体はあくまで仮説を提起するのみのある種探索的なものなのですが、全部が面白かったので紹介します。
4つの胃を持って反芻する猿、というところが主に面白いのですが、それとは無関係に炭を食うことで腸内細菌の多様性が増え、体調が良くなる可能性があるというのも面白い。その結論を出すために筆者は1日中猿の群を追いかけて5分おきに猿の行動を記録し、猿が食べ残した消し炭(民家の庭にある)を自分も食べてみる、という狂気じみたこともしていてこれも面白い。
ひとしきり面白がった後に、人間も炭を食うと体調が良くなったりするのか、という疑問がわいてきました。
そこでGoogle scholarで「炭 腸内細菌」「炭 食」「charcoal intestin」などのクエリで調べてみたところ、いくつかヒットするがかなり少ない。
これは慢性腎臓病の動物に炭を食わせることで、腸内の老廃物を吸着して腸のバリアを守れるかも、という論文
腸内細菌の多様性に関して、アブストのレベルでは書かれていなさそうです。
これは竹炭を含むものを鶏に食べさせると、小腸の絨毛の形態が変化して消化効率がよくなりそう、という結論の論文です
こちらも腸内細菌に関してはよくわからない。
こちらも同じようなもので、竹炭をアイガモに食わせると腸の絨毛がいい感じになって成長がいい感じになるという論文。
炭を食うと良いっぽいという論文はポツポツ見つかるので、もしかしたら人間でもいい結果がでるのでは?
そしてそれは腸内細菌の多様性が増加することを契機とするのでは?
みたいな仮説を思いつく面白い話題です。
腸内の毒素を炭に吸着させることで健康になろう!みたいな記事はいくつかヒットしますが、腸内細菌にフォーカスしたものはパッとは見当たらないので、まだ誰も検証していないのかも。
まあ単純に試されたけど結果が出ず発表されていない、という可能性もありますけどね。
おしまい
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